中国の国産旅客機「C919」が初の商業飛行 習政権が「国策」で開発推進

【ハルビン=三塚聖平】中国初の国産中型ジェット旅客機「C919」が28日、初の商業飛行を実施した。習近平政権は米欧メーカーが中心となっている世界の旅客機市場にくさびを打ち込むため、「国策」として開発を進めてきた。輸出にも意欲を見せているものの、海外展開にはハードルもあると指摘される。

中国東方航空が28日に上海虹橋国際空港から北京首都国際空港まで、約2時間のフライトを実施した。

C919は、上海の国有企業「中国商用飛行機」が開発し、2017年には初飛行に成功していた。中国メディアによると、座席数は158~192席で、欧州エアバスの「A320」や、米ボーイングの「737」が競合機種になる。

習政権は、対立長期化が見込まれる米国など西側諸国に依存しない産業の「国産化」を目指しており、米欧メーカーがシェアを握るジェット旅客機の開発はその重要な柱だ。習国家主席は、国産旅客機の開発について「国家の意志、民族の夢、人民の期待を担っている」と強調してきた。

中国国有航空大手などがC919の購入を進めており、受注数は昨年末時点で1千機を超えた。中国は輸出も目指しているが、当面は国内向けが中心になるとみられる。米国や欧州の航空当局から運航に必要な証明を取得するめどが立っていないためだ。また、エンジンなどの主要部品は米国など海外企業に頼っているなど完全な国産化にはまだ時間がかかるとみられる。

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