大手自動車メーカーに中国戦略を見直す動きが広がっている。中国市場はエンジン車から電気自動車(EV)へのシフトが急速に進み、競争環境が大きく変わったためだ。販売不振で中国工場の操業を停止した三菱自動車は、合弁先と抜本的な改革の協議を始めた。日産自動車も、今秋にも打ち出す新中期経営計画の策定に合わせて、商品開発や販売など中国事業全般の在り方を見直す構えで、最大市場を巡る日本メーカーの経営のかじ取りは転機を迎えている。
「大変厳しい環境が続いている。現段階で撤退という決定はしていないが、何らかの構造改革が必要なのは明白だ」
三菱自動車工業の加藤隆雄社長は今月の決算会見でこう述べた。同社は中国・湖南省の中国メーカーとの合弁工場でエンジン車を生産しているが、中国政府が後押しするEVなどの「新エネルギー車」が急拡大する中で販売不振が続いている。昨年度の販売は前年度比約4割減で、3月から5月まで生産を停止。6月以降の再開も、状況次第と慎重だ。