市川團子主演の明治座公演が閉幕 猿之助代役で大喝采

歌舞伎俳優・市川團子
歌舞伎俳優・市川團子

自宅で両親と倒れているのが見つかった歌舞伎俳優、市川猿之助(47)主演の東京・明治座昼公演「不死鳥よ波濤(はとう)を越えて」が27日、閉幕した。猿之助のいとこで俳優の香川照之(=市川中車)の長男、市川團子(19)が20日から代役で主演していたが、この日も堂々と悲劇の武将、平知盛を演じ、終演後4分半のスタンディングオベーションが続いた。

團子主演公演の最終日とあって、明治座には午前10時から、当日券を求める長蛇の列ができた。11時半に開幕すると冒頭、團子が龍を頂く船に乗って登場。背が高くスラリとした姿で、扇の陰からキリリとした表情を見せると、会場が割れんばかりの拍手が湧き起こった。

栄華を極めた平家の武将が大陸に渡り、散っていく展開。仲間を守るため、命がけの決意を述べる場面もあり、「生きて、生きて、生き抜け」などというせりふに、客席からは何度もすすり泣きの声が漏れた。

最後は不死鳥となっての宙乗り。白い衣装の團子がスポットライトに照らされ客席上で羽ばたくと、客席の興奮は最高潮に。代役とは思えぬ堂々たる姿は、満席の観客の涙を誘った。團子は歌や立ち廻り、早変わりや舞など、代役決定から1日半で体にたたき込み、8日間の公演をまっとうした。

この日の公演を見た早稲田大学演劇博物館館長、児玉竜一教授は「今月は特別な環境で、(團子は)非常に頑張ったと思う。周りのベテラン俳優の方がもちろん技術はあるが、それを彼の熱量が上回っていた。これから古典的な演目で、しっかり腕を磨いてほしい」と評価していた。

明治座の「市川猿之助奮闘歌舞伎公演」は28日まで。千秋楽の28日は昼夜とも「御贔屓繫馬(ごひいきつなぎうま)」で、中村隼人が主演する。問い合わせは03・3666・6666(明治座)。

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