衆院選挙区「10増10減」に伴う候補者調整を巡り、公明党が自民党に対し、東京都での選挙協力の解消を突き付けた。公明は1選挙区につき2万票ほどの集票力があるとされ、頼みにしている自民議員も少なくない。実際に衆院選で公明が東京で自民への推薦を見送った場合の影響を読みながら、両党の駆け引きが続きそうだ。
令和3年の前回衆院選で、自民は25ある東京の選挙区のうち、当選後の追加公認を除き23選挙区で公認候補を擁立し、21人が公明の推薦を受けた。選挙区を勝ち抜いたのは15人で、そのうち14人が公明の推薦を受けた。次点と2万票以下の差だったのは小倉将信(23区、6474票差)▽鈴木隼人(10区、7202票)▽山田美樹(1区、9090票差)▽小田原潔(21区、1万3343票差)▽伊藤達也(22区、1万8958票差)―の5氏だった。単純に公明票を2万票として計算すれば、5人は選挙区で敗北していたことになる。
選挙区で敗れ、比例代表で復活当選した自民議員は5人いた。公明票が乗らなければ選挙区での当選は一段と遠のきかねない。東京選出の自民議員の受け止めはさまざまだ。
公明の推薦なしで当選を続ける平沢勝栄元復興相(17区)は「私の選挙区では影響はない」と言い切る。ただ、平沢氏のような存在は多くない。公明の推薦を受ける閣僚経験者は「震えている」と青ざめる。5区で敗れ比例で復活した若宮健嗣氏は「党本部の最終的な決定を見届けて身を預けたい」と語る。