北川信行の女子サッカー通信

バルセロナ、女子チームも一緒に来日すればよかったのに…

28日の日テレ東京V戦に向けて練習するINAC神戸の選手ら=神戸市東灘区(北川信行撮影)
28日の日テレ東京V戦に向けて練習するINAC神戸の選手ら=神戸市東灘区(北川信行撮影)

サッカー女子プロ、WEリーグは早ければ27日に、2節を残して三菱重工浦和の優勝が決まる。今季の最終節は6月10日。7月20日~8月20日にオーストラリアとニュージーランドで開かれる女子ワールドカップ(W杯)を挟み、3季目(2023~2024年)のシーズンは8月下旬のWEリーグカップからスタートする。

少し寂しく感じるのは、今季のWEリーグ終了後、女子W杯の開幕まで1カ月以上も期間があくこと。W杯に臨む女子日本代表「なでしこジャパン」のメンバー発表は6月13日に予定されており、日本国内での強化合宿を経て、パナマ代表と対戦する壮行試合が7月14日に宮城・ユアテックスタジアム仙台である。

なでしこジャパン入りしたWEリーグの選手はしっかりとしたオフがない状態でW杯に突入することになるが、一方で、なでしこジャパン入りしていない選手はW杯期間中も含めて2カ月以上も公式戦の試合間隔があくことになる。

この期間を使って何かできないだろうか。

男子も6月の国際マッチウイークに日本代表の国際親善試合が2試合、日本国内で組まれており、主要な国際大会のない今夏は7月下旬から8月上旬にかけて約3週間、J1の中断期間がある。

この中断時期に男子はバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)やマンチェスター・シティー(イングランド)、セルティック(スコットランド)といった欧州の名だたるチームが来日。Jリーグのチームとプレシーズンマッチを戦う。興行的な意味合いの強い対戦だが、Jリーグの人気向上や欧州サッカーへの関心を高める一定の効果はあるように思う。

女子も同じように欧州のチームを招くことはできないだろうか。

例えば、25日に元スペイン代表のアンドレス・イニエスタが退団会見を開いたヴィッセル神戸は6月6日に東京・国立競技場で、イニエスタの古巣のバルセロナと国際親善試合を戦う。世界屈指のビッグクラブとして知られるバルセロナは女子も有名で、昨季の欧州女子チャンピオンズリーグ(CL)で立て続けに9万人以上の観客数を記録した。今季も欧州女子CLの決勝に進出している。いまさらながらだが、バルセロナの女子チームにも一緒に来日してもらい、WEリーグのチームと親善試合を行うことができれば、日本の女子サッカーの人気を上向かせるきっかけの一つになり得たのではないかと思う。

もちろん、女子サッカー人気が急騰している欧州から女子チームを呼ぶにしても、誰がお金を出すのか、興行的にどう成り立たせるのかなど、クリアしなければならない点が多く、現実的に5月末のこの段階から取り組むのは難しいだろう。

ただ、女子W杯を盛り上げるのももちろん大切だが、WEリーグの長いオフは、社会から忘れられてしまう危険もはらんでいる。なでしこジャパンへと関心を向けていく意味でも、特にW杯開幕までの期間でWEリーグが何を発信していくかは重要な気がする。

今回は意見表明の色合いの濃い「女子サッカー通信」となりました。ちなみに、WEリーグカップは11月5日に東京・国立競技場で決勝が行われ、3季目のリーグ戦は翌週に開幕の予定となっている。

今夏にW杯を控える女子サッカーの話題を定期的に発信します。


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