8千万円が1・6億円…転売相次ぐ選手村マンション「晴海フラッグ」、適正化へ制限導入

東京五輪・パラ選手村跡地の大型マンション群「晴海フラッグ」付近=2022年1月、東京都中央区
東京五輪・パラ選手村跡地の大型マンション群「晴海フラッグ」付近=2022年1月、東京都中央区

2021年夏に開催された東京五輪・パラリンピックで選手村だった大型マンション群「晴海フラッグ」(東京都中央区)が転売対策のため、6月に販売される2棟については申し込み制限を行うことになった。高騰が進む都心のマンションの中では割安とされ、人気を集める晴海フラッグ。これまでに転売された中には当初の販売価格の倍額がつけられたケースもあり、沈静化を図る。

制限が行われるのは、6月下旬に販売を予定する地上50階建ての2棟のタワーマンション「SKY DUO(スカイデュオ)」。申し込みを1名義につき2戸までとする新たな制限を設けた。

東京五輪・パラリンピック開催前の令和元年7月に販売が始まった晴海フラッグは、これまでに17棟を販売。東京都都市整備局の田中佐世子・公共再開発担当課長によると、昨年度まで販売していた棟には申し込みが殺到し、最高で266倍の応募倍率となった。転売目的の投資家が大量に申し込んだとみられる。実際、今年4月中旬以降、不動産仲介サイトで複数が転売されているのを把握したという。実際にサイトを確認してみると、高いものでは販売時8000万円台だった部屋が1億6000万円台で転売されていた。

このため都は、一般世帯が当選しにくい状況が続くのは好ましくないとして、販売業者に対策を要請。申し込み制限が決まった。田中課長は「マンションに本当に住みたいと思う方々が均等に当選の機会を得ることができ、転売対策にも実効性のある対策だと捉えている」とする。

背景にマンション高騰

晴海フラッグが転売人気を集めた背景について、住宅市場の動向分析を行う「ライフルホームズ総研」のチーフアナリスト、中山登志朗氏はウクライナ侵略などによる資材価格の上昇や円安を受けた都心のマンションの高騰があると指摘する。

不動産経済研究所の調査によると、東京23区の今年3月の新築マンションの平均価格は初の2億円超えとなる2億1750万円。これに対し晴海フラッグは、建築当時はまだ資材が安かった上に都が払い下げた土地に建てられたため低コストだったとし、「比較する物件によって異なるものの、面積単価が2~3割程度は安い。この割安感から大きな注目を集めた」(中山氏)という。

晴海フラッグの販売は6月下旬以降も順次続けられる予定で、中山氏は今後も転売防止のため、マンション市場の相場に合わせて価格をスライドしたり、追加購入を禁止したりする対応が求められるとしている。(本江希望)

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