坊主憎けりゃ袈裟(けさ)まで憎い。
共産党はもとより、昔の社会党に先祖返りしたかのような立憲民主党議員は、政権与党のやることなすこと糞(くそ)みそにくさしておけば、支持者が満足して当選できると信じているようで、吞気(のんき)な商売である。防衛費や核廃絶をめぐる野党の国会質問を聴いていて、あまりのお花畑ぶりに呆(あき)れてしまった。これでは10年たっても政権交代はおぼつかない。
F2はF16ではありません
下手に政権をとれば、村山富市翁が「自社連立」という究極の禁じ手で首相になったはいいが、あっという間に瓦解(がかい)した社会党や、歴代最長在任記録を樹立した安倍晋三政権を生んだ民主党の先例もあり、今のままでいいと思っているのだろうか。
記者にもそういう類いの人々がいる。東京新聞の望月衣塑子記者もその一人。ウクライナへのF16戦闘機供与をめぐりこうツイートをした。
「まさか、日本が保有するF16戦闘機を米国は出させるつもりではないだろうか。殺傷能力を持つ武器の貸与・供与を憲法九条を持つ日本は絶対にやるべきではない」
日本が密(ひそ)かにF16を保有していたなら大スクープだったが。ネットは大炎上し、彼女も「書き間違いました!すみません F16→F2です」と訂正したが、恥の上塗りだった。
F2はF16をベースにしているが、対艦攻撃に特化し大幅に改造したもので、対地攻撃能力に秀でているF16とは似て非なるもの。第一、米国は日本に戦闘機を出させようとは、まったく考えていない。東京新聞の読者の皆さんには同情を禁じ得ないが、この程度の知識で「武器輸出と日本企業」という本まで書いているのだから大した度胸である。
左翼陣営がこの調子では、与党が安心して揉(も)めるのもむべなるかな。
公明党は衆院東京28区に候補を擁立する方針を示したが、受け入れられず、東京の他の選挙区で自民に協力しないと通告したのである。
自公連立の枠組みは、平成11年の小渕恵三内閣以来、民主党政権時代を除いて20年以上続いてきた。
自民単独で政権を維持できた時代は、とっくに終わりを告げ、公明が自民のパートナーとなったことで政権が安定化したのは確かだ。
憲法改正には劇薬が必要だ
一方、自民議員が、選挙で公明の支持母体である創価学会の組織力に頼るようになり、後援会の弱体化が目立つ。「どこかで折り合いがつくだろう」と自民は楽観的だったが、「これまで我慢して自民党に投票してきたのに、1議席も譲れないのか」という公明の怒りは本物だ。
ならば、自公連立はそろそろ解消した方がいい。連立は手段であって目的ではないからだ。
新聞やテレビは、公明を「改憲勢力」に数えているが、実態を反映していない。衆参とも公明含め改正発議に必要な3分の2を占めていた安倍首相時代でさえ、発議できなかったのは、憲法を護持したい公明がブレーキを踏んだからだ。
改憲を目的に、日本維新の会や国民民主党が政権に加わっても何らおかしくない。公明も本来の「護憲」政党に戻れば、もっと支持者が増えるのではないか。いつまでも「自公」連立のぬるま湯につかったままでは、憲法改正どころか日本の政治が死んでしまう。(コラムニスト)
=次回は6月9日掲載予定