警察官の複数殉職事件は33年ぶり 対策強化も再び犠牲に

一つの事件で複数の警察官が殉職した事件
一つの事件で複数の警察官が殉職した事件

長野県中野市の立てこもり事件では、警察官2人を含む4人が犠牲となった。これまでも殉職事件が起きるたびに、警察官の命を守るための対策が取られてきたが、再び2人の犠牲者が出てしまった。

一つの事件で複数の警察官が犠牲になったのは、平成2年に沖縄県で暴力団の抗争の警戒に当たっていた警察官2人が組員と誤認され、銃で撃たれて死亡した事件以来で、33年ぶりとみられる。

過激派の武装闘争が激化した昭和40~50年代には警察官の死傷者を多く出したため、盾やプロテクターなどの装備が強化された。46年9月には、成田空港建設予定地の第2次強制代執行を巡り、警察と空港反対派が衝突する「東峰十字路事件」が発生。神奈川県警の警察官3人が殉職、約100人が負傷した。

翌年の47年2月には、連合赤軍のメンバーが長野県軽井沢町の山荘に10日間立てこもり、銃撃で警視庁の警察官2人が殉職するなどした「あさま山荘事件」が発生した。

54年1月には、大阪の三菱銀行北畠支店に猟銃を持った男が押し入り、支店長ら4人を射殺したうえ、客と行員多数を人質にして立てこもった。犠牲者の中には、通報で駆け付けた警察官2人も含まれた。

警視庁管内では平成元年、東京都練馬区の練馬署中村橋派出所で警察官2人が刺殺される事件が発生。この事件などを機に警視庁は交番などに侵入した不審者から即座に攻撃されることを防ぐため、入り口近くにカウンターを配置するなど対策を講じた。(大渡美咲)

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