蔵王山系の樹氷を形成するオオシラビソの2割が枯死に-。冬にできる樹氷を形成するオオシラビソ(アオモリトドマツ)の群生で有名な蔵王山系(宮城県、山形県)で、地蔵山(山形県)山頂手前から1600メートル付近までのオオシラビソ約2万3千本、全体の約2割が枯死していることが26日、わかった。山形市で開かれた樹氷復活県民会議で現状を調査した林野庁山形森林管理署が明らかにした。
同管理署が令和3~4年度に山形県から宮城県にわたる広さ4240ヘクタールの蔵王山系を上空からドローン撮影した画像を解析した。それによると、地蔵山山頂付近で生息しているオオシラビソは皆無の状態で、広さ約16ヘクタールにわたり枯死状態になっているという。
地蔵山山頂付近のオオシラビソは、平成25年に葉が茶色に変化した。ガの一種であるトウヒツヅリヒメハマキの幼虫がオオシラビソの葉を摂食し、光合成ができなくなり樹勢が衰退。さらにトドマツノキクイムシにより幹に穴があけられ、枯死しているという。
山形県は3月、山形市や上山市など地元自治体や関係団体で「樹氷復活県民会議」を設立。9月には約800本のオオシラビソの稚樹を移植する計画だ。