ロンドン郊外に生まれたグレアム・ヤングは、10代から毒物に強い興味を抱き、やがて家族や友人に毒を盛るようになる。被害者は70人にものぼり、継母を含む3人が命を落とした。
▼終身刑を言い渡されたヤングは1990年、刑務所の中で病死する。42歳だった。ヤングは自分の与えた毒物がどのような病状を引き起こすか、詳細な日記を付けていた。あたかも化学の実験を楽しむように犯行を重ねていた。
▼平成17年に静岡県で起きた殺人未遂事件をきっかけにして、ヤングの名前が日本で知られるようになった。高校1年生の女子生徒が劇物のタリウムによって母親を毒殺しようとした事件である。彼女はネット上で公開していた日記で、尊敬する人物としてヤングを挙げていた。