韓国で若者の引きこもり問題への認知が進み始めている。これまでは社会に適応できない「内向き」な若者と切り捨てられてきた。だが、若者の「20人に1人」が該当するとの調査結果などを受け、行政も対策に本腰を入れ始めた。韓国での支援活動に携わってきた日本の関係者も、その動向を注視している。
ソウル市内で1人暮らしする金利昣(キムイジン)さん(31)が短期就労と引きこもりを繰り返す生活は、20歳のころに始まり10年を超えた。「精神状態が特にひどい時期はインターネットも使わず、家に1年以上閉じ籠もった」。季節の変化に気づかず、ダウンコート姿で外に出たら真夏だったということもある。
中学2年の時、アルコール依存症の父が倒れて意識を失っているのを「いつものこと」と放置し、父は寝たきりになった。自責の念に駆られるうちに躁鬱(そううつ)病を発症。高校卒業後、現実逃避するように日本に渡ったが、投薬の中断で症状は悪化し、帰国後は社会生活を送れなくなった。