シャープが、液晶表示電卓を昭和48年に発売して50年。世界で初めて実用化された液晶は時代を代表するディスプレーとして進化し、ブラウン管に取って代わった。プラズマディスプレーとの競争にも勝ち残り、日本メーカーが先導する形で世界に普及した。同社は液晶の成功で規模を拡大させたが、巨費を投じた末に韓国、中国勢との競争に敗れ、巨額赤字の元凶といわれた。経営危機を招いた同社が台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入った現在も液晶事業が再び不振となり、平成28年度以来6年ぶりの最終赤字に沈んだ。
ふたの閉め忘れきっかけ
1968(昭和43)年、米RCA社が液晶表示の研究成果を発表して世界的に注目されたが、実用化は難航していた。電圧をかけると光の通し方が変わる液晶の特性を応用しているが、材料などに化学反応がすぐ起こり、製品化に耐えうる長寿命が得られなかったからだ。
シャープなどによると、同社には長寿命化につながったエピソードが伝わる。
「しまった」