我流~社会部発

迷走重ねた大阪自民 羅針盤は安倍氏の軌跡だ

次期衆院選に向けた自民党の茂木敏充幹事長(中央)らとの意見交換会であいさつする自民大阪府連の谷川とむ会長=24日、大阪市北区(南雲都撮影)
次期衆院選に向けた自民党の茂木敏充幹事長(中央)らとの意見交換会であいさつする自民大阪府連の谷川とむ会長=24日、大阪市北区(南雲都撮影)

4月の統一地方選で地域政党「大阪維新の会」に大敗した自民党大阪府連が谷川とむ新会長(衆院議員)のもと、次期衆院選に向けて動き出した。今月24日に党本部の茂木敏充幹事長が来阪し、府内の支部長や選挙態勢について協議した。党本部が支援するとはいえ「再建」などの通り一遍の言葉では形容しがたいほど前途は多難である。

「足りなかったのは統一的、計画的、組織的に選挙を展開すること」

自民府連会長を辞した宗清(むねきよ)皇一衆院議員の言葉だ。ただし語ったのは、1年前の令和4年4月。党会合で3年衆院選の惨敗を総括した中での発言だった。

くしくもこの反省は、今回の統一選にも通じるといえないだろうか。

大阪府知事・大阪市長のダブル選で、維新に対抗する政治団体「アップデートおおさか」が擁立する候補を自主支援するとした自民府連の対応は「統一的」とはいえまい。知事選では、アップデート側から提案された法学者の谷口真由美氏に事実上乗っかった。

谷口氏は自民が野党時代にまとめた憲法改正草案や安倍晋三政権への批判を繰り返しており、自民とは相いれない人物だ。当然、安倍氏を支えてきた岩盤保守層を中心に自民支持者が離反し、知事選は維新代表で現職の吉村洋文氏に200万票差をつけられた。

もとをただせば、独自候補を立てられなかった時点で勝負は決まっていたのかもしれない。維新関係者が選挙前にこう語っていた。

「4年に1回必ず選挙はある。自民は(2年11月の)大阪都構想住民投票でわれわれに勝った後、すぐにダブル選の候補者を決めて備えるべきだったはず。何をしていたのか」

取材していても、自民が「計画的」に準備していたとは思えなかった。維新が誘致を進めるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の対案として自民府連内で浮上した大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)へのディズニーリゾート誘致構想は、その最たるものだ。機関決定を経ないまま拡散し、混乱した末に府連がポスター回収を呼びかける事態となり、「組織的」な選挙戦には程遠い惨状を招いた。

「消費者(=有権者)の心をつかみ、売れる商品を出すのがうまい」。統一選まで自民府連総務会長を務めた前市議の川嶋広稔(ひろとし)氏は、教育無償化を打ち出した維新の選挙戦術をこう評価しながら、「でも政治はビジョンを持っていなければだめだ」と語った。

政権与党の気概がにじむ言葉であり、共感するところもある。維新はポピュリズム的色彩が強く、国家観が心もとない議員も少なくない。だからこそ自民府連には、維新への対抗意識だけにとらわれた迷走状態から脱してもらいたいという期待は大きいのだ。

『安倍晋三回顧録』(中央公論新社)で、安倍氏は平成19年の第1次政権退陣という挫折を経て、自民が政権を奪われた21年衆院選までに支持者らとのミニ集会を300回重ねた「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」の日々について語っている。

「地域を回ることで、有権者の関心は、やっぱり日々の生活なんだなと気づかされた。だから、そこにも重点を置くべきだ」

この認識から経済政策「アベノミクス」は生まれ、政権奪還につながった。自民府連は、安倍氏の軌跡を羅針盤として地に足をつけた組織に生まれ変わってほしい。(社会部 土屋宏剛)

自民大阪、谷川会長選出 次期衆院選へ組織再生図る

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