防衛費増額の財源を確保するための特別措置法案は、23日の衆院本会議で与党の賛成多数により可決され、衆院を通過した。24日の参院本会議で法案の趣旨説明と質疑が行われる。政府・与党は6月21日の会期末までに確実に成立させる考えだ。
この日の採決では、立憲民主、日本維新の会、共産、国民民主の4党が、不足分を増税で賄うことを前提とする点などを問題視して反対した。
政府は、防衛費増額の財源を税外収入や決算剰余金で捻出し、残りを法人、所得、たばこの3税の増税などで賄うことを計画している。法案には、国有財産の売却などによる税外収入を集めた「防衛力強化資金」の創設を盛り込み、令和5年度予算に計上した4兆5919億円の税外収入を複数年度にわたって活用する措置を規定した。
衆院での審議を巡っては、立民などが塚田一郎財務金融委員長(自民)の解任決議案と鈴木俊一財務相の不信任決議案を提出し、委員会採決が2度にわたり延期された。維新、国民両党は、遅延戦術と距離を置く狙いから、両案の提出には同調しなかった。
野党側は、東日本大震災の復興特別所得税を防衛財源に転用する政府方針に関連し、被災地での地方公聴会実施を求めた。与党は、地方公聴会に準じる会合の実施を提案し、採決に向けた環境整備を図った。
今後、参院でも会期末を見据え与野党間の激しい攻防が展開されそうだ。法案は岸田文雄首相が今国会の最重要課題と位置づけるだけに、成立すれば、首相にとって衆院解散に向けた環境が一つ整うことになる。