仏紙「日本、フランスを理解せず」 独紙「G7の力、まだある」

G7広島サミットで記念撮影に臨む(左から)ドイツのショルツ首相、バイデン米大統領、岸田首相、ウクライナのゼレンスキー大統領、フランスのマクロン大統領、カナダのトルドー首相、英国のスナク首相、EUのミシェル大統領=21日午前、広島市(代表撮影)
G7広島サミットで記念撮影に臨む(左から)ドイツのショルツ首相、バイデン米大統領、岸田首相、ウクライナのゼレンスキー大統領、フランスのマクロン大統領、カナダのトルドー首相、英国のスナク首相、EUのミシェル大統領=21日午前、広島市(代表撮影)

【パリ=三井美奈】フランス紙フィガロは、先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)について「ロシアに制裁し、中国を叱責する」会議になったと位置づけた。中国に対する立場で、フランスと日米の間で大きな違いがあったとも伝えた。

同紙によると、首脳声明の中国をめぐる文言で、「マクロン大統領は抑えた表現にしようとした」。マクロン氏自身、「リスクを減らしても、経済は切り離さない」と主張した。これに対し、中国の脅威に直面する日本は「フランスの立場を理解しなかった。フランスを『G7の弱い環』とみなした」と記した。

仏紙リベラシオンは、ウクライナのゼレンスキー大統領の広島サミット参加は「歴史的」だったと評価した。一方で、ゼレンスキー氏は、G7以外の有力な招待国に支持を広げようとしたが、「中途半端な成果」にとどまったと報じた。

ドイツ紙ウェルトは、「G7が初めて、中国に対する共通の政策で合意できた」と成果をたたえた。首脳声明について「米国のタカ派が求める強硬な立場はとらなかった。それでも、中国への過度な依存を減らしてリスクを抑え、先端技術を保護することに合意し、スタートを切ることができた」と意義を強調した。

G7については「時代遅れ」という批判があるが、インド、インドネシア、ブラジル、さらにウクライナという「新しい民主主義国」を招いたことで、「これまでと違うやり方をとれば、まだ力を発揮する」ことを示したと論じた。

独紙フランクフルター・アルゲマイネは、対面で行ったサミットは「電話やビデオ会議ではできない」成果をあげたと強調した。同紙はまた、米国が首脳声明で「中国の経済的進歩および発展を妨げようとしない」という文言を受け入れたことに注目。米国の対中強硬姿勢が変化する可能性に触れ、「兆しは示された」と指摘した。

今回のサミットは、ウクライナ支援が大きなテーマとなり、G7以外の欧州諸国の関心も高かった。デンマーク公共放送DRは、ゼレンスキー氏の参加で、「G7広島サミットは、最も重要なサミットのひとつとして、記憶に残る」と伝えた。首脳声明が中国の経済的威圧や人権侵害に言及し、厳しい批判を盛り込んだと評価した。

ロシア紙「G7は世界の総意ではない」

会員限定記事会員サービス詳細