1920年代のパリで活躍した2人の女性、マリー・ローランサンとココ・シャネルは、第一次大戦後の自由な時代を生きた女性たちの代表的存在。2人の軌跡をたどると、世界各地の才能が集まり、ジャンルの枠を超えて交流と融合が行われた当時のパリ芸術界を振り返ることができる。しかし、2人の直接の接点は1点の肖像画に限られている。
ローランサンとシャネルは共に1883年生まれ。決して恵まれた家庭の出身ではなかったが才気にあふれた彼女たちは、第一次世界大戦前に頭角を現し、1920年代のパリで名声を上げた。美術とファッションという異なる分野で活躍した2人だが、共通点、さらにパブロ・ピカソやジャン・コクトーなど共通の友人も多かった。しかし彼女たちの直接的な接点は、ローランサンが描いた肖像画だけであった。
1920年代、パリの社交界ではローランサンへ肖像画を依頼することがステータスとなっており、シャネルも成功の証しにと、ローランサンへ肖像画を依頼した。だが、シャネルは作品の出来上がりに満足せず、描き直しを依頼。ローランサンも譲らなかったため、ついに肖像画が受け取られることはなかった。
女性的で優美な画風のローランサンに対し、男性服の機能性や合理性も取り入れてファッションに革命をもたらしたシャネル。相いれなかった2人の関係は、20世紀にようやく改善の時を迎える。シャネルのデザイナー、カール・ラガーフェルドが、ローランサンの絵画の色彩に着想を得たドレスを発表したのだ。夢見るように淡いローランサンのイメージと、機能的でシンプルかつモダンなシャネルのイメージが見事に融合されている。
ローランサンとシャネルの活躍を、パリ、オランジュリー美術館やマリー・ローランサン美術館など国内外のコレクションから、絵画、ドレスなど約90点のラインアップで紹介する展覧会「マリー・ローランサンとモード」は、京都市京セラ美術館で6月11日(日)まで開催中。会場内は一部写真撮影可能。詳しくは公式WEBページ。
開催概要
【タイトル】マリー・ローランサンとモード1920年代パリ、女性たちは羽ばたいた—ココ・シャネル、マドレーヌ・ヴィオネも活躍
【会期】2023年6月11日(日)まで、月曜休館
【開館時間】午前10時~午後6時(入場は閉館30分前まで)
【会場】京都市京セラ美術館 本館 北回廊1階(同市左京区)
【入場料】当日券一般2000円、大学・高校生1500円、中学・小学生700円。
【チケット】イープラス、ローソンチケット(Lコード50600)、チケットぴあ(Pコード686-368)、セブンチケット(セブンコード099-099)など
【問い合わせ】同館(075-771-4334)