“攻守”から俯瞰する恐竜進化 特別展「恐竜博2023」

(図1)ズール・クルリヴァスタトルの胴体(実物) 撮影:山本倫子
(図1)ズール・クルリヴァスタトルの胴体(実物) 撮影:山本倫子

「今度の主役は『トゲトゲ』だ!」という国立科学博物館の特別展「恐竜博2023」のポスターを見かけた方もいらっしゃるかもしれません。トゲトゲは、ズールという鎧竜のウロコです。ウロコは髪の毛のようなケラチン質で柔らかいのですが、それに骨成分が加わって硬い皮骨をもつようになったのが鎧竜です。鎧竜というとアンキロサウルスが有名ですが、頭からしっぽの先の棍棒まで一体分が完全に見つかっている鎧竜はズールだけしかいません。まずズールの実物化石を発掘現場のような展示空間でまずご覧いただきます(図1)。

(図2)ズール・クルリヴァスタトル(左)とゴルゴサウルスの対峙シーンを再現した全身復元骨格 撮影:山本倫子
(図2)ズール・クルリヴァスタトル(左)とゴルゴサウルスの対峙シーンを再現した全身復元骨格 撮影:山本倫子

次に発掘され、研究されて、全身骨格が復元されたズールが、せまってくる肉食恐竜ゴルゴサウルスのあしに、しっぽの棍棒をつかって反撃しようとしている、約7600万年前の対決シーンが再現されています。しっぽの棍棒がどのように動いたのか、影が動く演出もしてあるので、床にもご注目ください(図2)。

(図3)ティラノサウルス「タイソン」(左)と「スコッティ」(右/© Courtesy of The Royal Saskatchewan Museum) 撮影:山本倫子
(図3)ティラノサウルス「タイソン」(左)と「スコッティ」(右/© Courtesy of The Royal Saskatchewan Museum) 撮影:山本倫子

今から約6600万年前のある日、たまたま飛んできた小天体の衝突によって、地球の環境が激変してしまい、鳥類以外の恐竜は絶滅してしまいました。最後の恐竜のひとつがティラノサウルスでした。ティラノサウルスが2体ならぶ空間も超レアですが、左側の「タイソン」は実物化石を組み込んだ全身骨格で、なんと世界初公開です(図3)。

(図4)スキピオニクス カゼルタ・ベネヴェント地方考古学・美術・景観監督局所蔵
(図4)スキピオニクス カゼルタ・ベネヴェント地方考古学・美術・景観監督局所蔵

このほかスキピオニクス(図4)、マイプなど日本初公開の実物化石もお見逃しなく!

(国立科学博物館・副館長 真鍋真)


開催概要

特別展「恐竜博2023」

【公式HP】https://dino2023.exhibit.jp/

《東京会場》

【会期】2023年3月14日(火)~6月18日(日)

【会場】国立科学博物館(東京都台東区上野公園7–20)

【主催】国立科学博物館、NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社

※日時指定予約が必要です。

《大阪会場》

【会期】2023年7月7日(金)~9月24日(日)

【会場】大阪市立自然史博物館 (大阪・長居公園)

※大阪会場の展示物は東京会場と一部異なります。予めご了承ください。


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