東京国立博物館では、1955年以来約70年ぶりとなる古代メキシコ文明に関する展覧会を開催します。本展覧会は「マヤ」、「アステカ」、「テオティワカン」の3文明に焦点を当てて、メキシコを代表する約140件の出土品をご紹介いたします。
第1章は「古代メキシコへのいざない」です。展覧会の導入として、多様な自然環境の下で培われた「トウモロコシ」、「天体と暦」、「球技」、「人身供犠(じんしんくぎ)」の各文明の共通テーマに沿って、横断的に作品を展示いたします。
第2章は「テオティワカン 神々の都」です。世界遺産に登録されているテオティワカンは海抜2300mのメキシコ中央高原にある都市遺跡です。ここではテオティワカン文明を代表する、太陽、月、羽毛の蛇の各ピラミッドの出土品が一堂に集結します。
第3章は「マヤ 都市国家の興亡」です。ピラミッドなどの公共建築、集団祭祀、精緻(せいち)な暦に代表されるマヤは、巧みな交易や外交、時には戦争を通して都市国家どうしが覇権を争いました。本展覧会では、マヤを代表する都市国家パレンケの黄金時代を築いたキニチ・ハナーブ・パカル王の妃とされる、赤の女王(スペイン語でレイナ・ロハ)のマスクや冠、首飾りなどの墓の出土品を本邦初公開いたします。
第4章は「アステカ テノチティトランの大神殿」です。軍事力と貢納制(けんのうせい)によって強国を築いたアステカの首都テノチティトランには、大神殿、テンプロ・マヨールがそびえ、荘厳な祭祀や儀礼が執り行われました。アステカの世界観を凝縮した力強い彫刻作品をはじめ、近年の調査成果を交えてご紹介いたします。
独自の世界観や造形美を通して大きく花開いた古代メキシコ。この機会にその奥深い魅力を体感いただければ幸いです。
(東京国立博物館 考古室長 井出浩正)
開催概要
特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン」
【会期】2023年6月16日(金)~9月3日(日)
【会場】東京国立博物館 平成館
【主催】東京国立博物館、NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社