空気が澄み切った晴れの日、白い陸橋の上に線路を確認する作業員が現れた。しばらくすると、黄色と黒に塗られた車両が「試運転」の表示とともに、ゆっくりと走り抜けていった。
8月の開業を目指す宇都宮市などを走る路面電車「芳賀(はが)・宇都宮LRT」の試運転だ。JR宇都宮駅東口と隣の芳賀町の14・6キロメートルを約40分かけて結ぶ予定で、雷が多く雷都と呼ばれる宇都宮にちなみ愛称を「ライトライン」とした。
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夜、宇都宮の市街地にある交差点を通過するライトライン。開業に向けて確認作業を繰り返している
街中を一般の車と走る併用軌道と専用軌道を組み合わせ、バリアフリーにも配慮した次世代型の路面電車システム(LRT)だ。国内で新たな路面電車が開業するのは75年ぶりで、地方都市での公共交通機関の挑戦として注目されている。
沿線には、ホンダやキヤノンなどの工場や研究所があり、通勤客が利用することでラッシュ時の渋滞緩和が期待されている。
開業予定まで約3カ月。市は子供たちへの乗り方教室や、車内見学会を開きPRしている。
市建設部LRT整備課の黒崎隆さん(46)は「多く使っていくだろう子供たちに、早く慣れ親しんでほしい」と話す。乗り方教室に小学生の息子と参加した中西恭子さん(47)は「将来、子供たちだけでの移動や習い事に通うのに使えれば」と期待する。
金曜日の夕方、撮影を終え車で帰路につくと、ライトラインが走る目抜き通りに長い渋滞ができていた。周辺にはレストランや商業施設もあり、週末を楽しむ家族連れの車も多いようだ。ライトラインの開業は、通勤だけでなく、快適な週末を過ごすのにも一役買ってくれるかもしれない。 (写真報道局 萩原悠久人)