先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)が19~21日、広島市で開かれる。岸田文雄首相をはじめとするG7の首脳が国際情勢を巡って議論するが、ロシアの侵略を受けるウクライナや国際的に存在感を増すグローバルサウス(南半球を中心とした新興国・途上国)など、議論される側はどんな思いで会議を見つめているのか。ウクライナや新興国の視点からの議長国・日本への要望を3人の識者に聞いた。このうち、ウクライナ人国際政治学者のグレンコ・アンドリー氏の話は次の通り。
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G7広島サミットは、主要国がウクライナ危機を含め、世界が直面する重大な問題に対する共通認識を確認し、行動に踏み出す場になってほしい。重大な問題とは、中国やロシアなど独裁国家による陣営と、自由主義国家陣営の対立の激化だ。独裁側は今、国際秩序を自由主義陣営から奪おうとしている。世界は大変な危機に直面している。
現在、自由主義陣営の足並みがそろっているとは言い難い。4月に訪中したフランスのマクロン大統領の振る舞いは、明らかに自由主義の大国のリーダーにふさわしくないものだった。核保有国のトップとして自信があるのかもしれないが、自由主義陣営の結束を強く求められる局面で、中国との商売を拡大する実利外交を進めてしまった。