冨田浩司駐米大使は9日、ワシントンで記者会見し、北大西洋条約機構(NATO)が日本に連絡事務所を開設する方向で検討を進めていると明らかにした。NATOはウクライナに侵攻したロシアに近づく中国を警戒してアジア太平洋地域との連携を強化しており、日本との協力も深める狙いとみられる。
冨田氏は開設は「最終的に確認されたとは聞いてない」としながらも「その方向で取り組んでいる」と述べた。時期や場所は明らかにしなかった。開設されれば中露が反発しそうだ。
岸田文雄首相は昨年6月、スペイン・マドリードで開かれたNATO首脳会議に初めて出席した。同会議は今後約10年間の指針となる新たな「戦略概念」を採択し、侵攻を続けるロシアを「最大かつ直接の脅威」と明記。中国も「体制上の挑戦」を突き付けているとし、中国への懸念に初めて言及した。(共同)