【北京=三塚聖平】中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は9日の記者会見で、カナダ政府が同国駐在の中国人外交官1人に国外退去を通告したことに対し、「強い非難と断固とした反対」を表明した。カナダ側に対し「厳正な申し入れと強い抗議」を行ったと説明した上で、「下心があって中国・カナダ関係を破壊するもので、タチが非常に悪い」と猛反発した。
汪氏は、中国外務省がカナダの在上海総領事館の外交官1人に国外退去を通告したことについて「中国が自らの合法的な権益を守る行動で、完全に正当で必要なものだ」と正当化した。国外退去の対象となったカナダの外交官を選んだ理由については、「対等な対抗措置」などと繰り返すのみで具体的な説明を行わなかった。
カナダ政府は8日、中国の在トロント総領事館の外交官に「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」を通告し、5日以内の退去を求めた。中国の人権弾圧を批判する野党保守党の国会議員とその親族の情報を収集し、脅迫の標的としたとされる。それに対し、中国外務省は9日、カナダの上海総領事館の領事をペルソナ・ノン・グラータとして、今月13日までに中国を離れるよう求めたと発表した。中国外務省は「さらなる反応を取る権利を留保する」と強調しており、カナダ側の出方次第で追加措置を取る可能性を示唆している。
カナダ、中国人外交官に国外退去通告 ウイグル弾圧批判の下院議員を脅迫か