「がんとの共存はがん細胞の多様性に合った治療法の模索必要」がん診療医、三好立さん

患者を診る三好立医師=東京都
患者を診る三好立医師=東京都

がん患者にとって最適な抗がん剤治療を求めてきたというがん診療医、三好立・銀座並木通りクリニック院長。「いつも患者さんと同じ方向をめざし治療を提案できているか、細心の注意が必要だ」といいます。

当院では、低用量の抗がん剤治療を実施しています。この治療はやみくもに抗がん剤を減量しても治療効果は得られるわけではありません。ですので、薬学の専門家(博士)である、癌(がん)研究会化学療法センター(東京都)の元主任研究員、片岡達治さんを学術顧問に迎え、16年以上にわたり、減量した抗がん剤でのがん制御の試みを行ってきました。

がんは体の中で1個のがん細胞から始まりますが、細胞分裂を繰り返し、億個単位のがん細胞から構成される「臨床がん(目に見えるがん)」に成長します。臨床がんは1種類の均一ながん細胞から構成されるのではなく、性格の異なる何種類かのがん細胞の集合体となります。これを「がん細胞の多様性」といい、がん診療を進める上で非常に重要なポイントである一方、その治療を難しくしている理由の一つでもあります。さらに、がん細胞の多様性は患者さんごとに異なるため、多様性に沿った薬剤の組み合わせが患者さんにとって適切な使用薬剤になると考えられます。

がん細胞の多様性に対応した薬剤群が正確に選択された場合、患者さんの状態に応じ薬剤を減量しても、がんを制御する効果が得られることが経験的にわかってきました。

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