第6部 新たな試練㊥
※2010年12月20日 産経新聞掲載。敬称略
中国は北方ルートに関心
「大洋への9の出口」。こうタイトルをつけた防衛省の内部資料がある。国内では注目されることのなかった4月の中国紙報道を分析したものだ。中国にとっての太平洋などへの「出口」として、宮古水道、与那国島西水道など南西方面から出るルートとともに、日本海を通り千島列島から太平洋に向かう西北太平洋ルートが記されていた。
今月13日付のカナダ紙バンクーバー・サン(電子版)も、北方に目を向ける「中国の戦略」を特集した。同紙は中国とロシアの石油企業がロシア北極地域で天然ガス開発を進めようとしていることや、地球温暖化の影響で氷が解け、北極海での航海が以前より困難ではなくなることを指摘。日本海から太平洋に抜けずに北極海に向かうルートを使うとインド洋などを経由するよりも大幅に欧州への航路を短縮できるため、中国が関心を寄せているとした。
「航路の安全確保のため中国の海軍力が北方にも向かう可能性がある」