統一地方選後半戦で、東京都の小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」は、都内の議員選に擁立した候補者60人のうち、44人が当選した。改選前の計24議席からほぼ倍増し、党勢拡大を目指した党の目標は一定程度達成したといえる。ただ、前半戦から勢いに乗った日本維新の会は、都民ファを上回る躍進をみせ、都民ファ関係者は警戒感を強めている。
「それぞれの地域で、しっかり活動されてきた答えが出てきているのではないかと思う」。統一地方選を終えた24日午前、都庁で報道陣の取材に応じた小池氏は、都民ファの選挙結果をこう振り返った。
都民ファによると、小池氏は選挙期間中、擁立した候補の約9割にあたる50人超の応援に駆け付けた。「公務以外はほぼすべての時間を割いた」(小池氏周辺)という力の入れようで、ある区議会関係者は「小池知事の知名度と人気は依然として底堅いものがある」と話した。
ただ、小池氏が衆院議員時代に地盤とした豊島区の区議選では、都民ファ候補8人の全員当選は果たせず、当選は4人。改選直前の5人を下回った。首長選では推薦を出した候補者が豊島区と三鷹市で勝ったが、大島町で敗れた。
一方、日本維新の会の共同代表、吉村洋文大阪府知事は、後半戦の選挙戦最終日に都内各地で候補者の応援に走り回り、千代田区議選の街頭演説ではこう訴えた。「日本維新の会は大阪の政党というわけじゃない。次世代の利益を追求する維新に力を貸してもらいたい。(候補の)2人を千代田区議会に押し上げてほしい」
開票の結果、維新は、都内の議員選に擁立した候補70人のうち67人が当選を果たし、議員数が選挙前の3倍以上に増えた。区長も都議も都民ファ系の千代田区の区議選で維新の新人2人が当選し、豊島区議選では維新の元区議2人が当選、上位当選した候補者も目立った。
維新幹部は「自民党にも立憲民主党にも属さない有権者の票が都民ファだけでなく、維新にも入ったと感じる。東京でも存在感を示せた」と自信を見せた。
これに対し、都民ファ内では、維新の勢いは限定的との見方もあっただけに動揺が広がっている。幹部の一人は「都民ファに入っていたはずの票がどれくらい維新に流れたか、細かく分析する必要がある」と警戒した。(植木裕香子)