癒えぬ悲しみ「でも前へ」 知床沈没1年

北海道斜里町ウトロ地区の道の駅に設けられた献花台で手を合わせる人たち=23日午後
北海道斜里町ウトロ地区の道の駅に設けられた献花台で手を合わせる人たち=23日午後

1年前の事故発生時刻付近にサイレンが鳴り響いた。献花台で黙禱(もくとう)をささげる地元住民。北海道・知床半島沖の観光船「KAZU Ⅰ(カズ・ワン)」沈没事故から1年となった23日、出港地の斜里町ウトロ地区は鎮魂の雰囲気に包まれた。今も悲しみは癒えていない。でも「前に進まなければ」の声も。節目の日に多くの思いが交錯した。

気温5度、風速4メートル超の午後1時15分ごろ、灰色の雲に覆われたウトロ地区に大きなサイレンの音が響き渡った。

この日、ウトロ地区の道の駅に設けられた献花台には地元住民や観光客ら160人以上が訪れた。音更町の小学6年、北こなつさん(11)は両親と花を手向け「見つかっていない人も早くあたたかいところに戻ってほしい」。斜里町民の男性(67)は「町はあの日から時間が止まっているようだ。事故の悲しみを抱えながら過ごしていくと思う」と絞り出した。

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