2030年までによりよい世界を目指す国際指標のSDGs(持続可能な開発目標)は、大学でも普遍的な取り組みとして広がっている。学問を追究し、知識と行動力を合わせ、社会課題解決への一歩を探っていく。SDGsを通し、時代感覚と国際性を培う大学生の学びとは-。
対策レシピを考案 十文字学園女子大
「ブロッコリーの茎入りハンバーグ」「勿体(もったい)ないがない 鰹(かつお)節ふりかけチャーハン」…。ユニークな食品ロス対策レシピを考えたのは、十文字学園女子大学食品開発学科の学生たちだ。
リーダーの同学科4年、小山彩華さんは「食品を学ぶ中で、多くの食べ物が捨てられている食品ロスは解決しなければいけない課題」と振り返る。
大根の皮やだしをとったかつお節…。食べられるが廃棄されがちな食材を調査した。例えば、ブロッコリーの茎。みじん切りにしてひき肉に混ぜ込み、シャキシャキとした食感が楽しめるハンバーグに仕上げた。
レシピは、埼玉県和光市など朝霞地区4市が共同発行する生活情報誌『くらしのあかり』にも掲載された。同学科の渡辺章夫准教授は「SDGs(目標12)の『つくる責任 つかう責任』につながる学び。地球資源について考えるきっかけにしてほしい」と話す。
産学連携プロジェクトに挑戦 明治大
明治大学商学部で世界経済論を指導する小林尚朗教授のゼミナールでは、昨年5月から産学連携プロジェクト「Stepping Stone」に挑戦している。
SDGs商品を手掛けるスバストラジャパン(東京都千代田区)を中心に、法政や駒沢など計5大学が参加。適正な賃金や労働環境を構築するフェアトレードのコットンを使い、大学ごとに商品を企画した。ゼミ長の和田将馬さんは「狙いは、学問とビジネス視点でフェアトレードを広めること。商品の魅力を高めることに力を入れた」という。
コンセプト立案に始まり、販売までビジネスの流れを体験。インドの工場担当者へのインタビューも実施し、Z世代向けのショルダーバッグを制作した。パソコンが入る大容量サイズで、内側ポケットには整理整頓しやすいようスマートフォンや財布のデザインをあしらった。
小林教授は、「SDGsやフェアトレードから見えてくることは、貧困といった世界の課題。違う世界の出来事ではなく、つながっている。グローバルビジネスを学ぶ学生が世界を理解する一歩になる」という。
環境に配慮した商品 清泉女子大、千葉商科大
2015年の国連サミットで採択された『持続可能な開発のための2030アジェンダ』に記載されたSDGs。目標達成まで残り7年。大学では、SDGsやフェアトレードだけではなく、エシカルやオーガニックといったキーワードを掲げた学びが広がる。
清泉女子大学地球市民学科の安斎徹教授のゼミナールでは、日本製紙パピリア(東京都千代田区)との産学連携で、エシカルスキンケアブランドシリーズの一商品として「守結(まゆ)ハンドクリーム」を開発した。
「自然エネルギー100%大学」を目指すのは千葉商科大学。学内の太陽光発電設備で大学での全消費電力をまかなう目標などを達成し、SDGsが掲げる気候変動への具体的な取り組みを加速させている。