個人情報が中国側に漏洩(ろうえい)する恐れがあるとして、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の政府端末での利用を禁止する動きが米欧各国で広がっている。日本も機密情報を扱う政府職員のスマートフォンでの利用を禁止した。日本でも若者を中心に利用者が多いが、危険性や禁止した際の影響はどの程度あるのか。国内での一般利用を禁止する法案が審議されている米国と、日本国内の有識者に話を聞いた。このうち、日本スマートフォンセキュリティ協会技術部会長の仲上竜太氏の話は次の通り。
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TikTokの問題点としては昨年夏、アプリ内のブラウザー(インターネット閲覧ソフト)に、スマートフォンのキーボードの入力履歴を外部送信するプログラムが埋め込まれていることが確認されたことが挙げられる。ただ、このプログラムは削除されており、アプリ利用に必要な個人の位置情報などへのアクセスは正常な手段で行われているようにみえる。
問題なのは、中国では、法律で、同国に拠点がある会社の集めたデータは中国政府が収集できると定められていることだ。これはTikTokなどスマホアプリに限らない。中国に拠点がある企業が日本で展開しているサービスや、中国製部品を組み込んだ日本メーカーの機器ですら、中国政府がデータを収集して使っていたとしてもそれを知ることができない。