環境への影響を懸念する静岡県の川勝平太知事が県内工区の着工を認めないリニア中央新幹線を巡り、同氏による「引き延ばし」が鮮明になってきた。主要論点である大井川の流量維持問題で、対応策として有力視される上流部のダムの取水抑制案実現に向け、県や流域市町などは3月27日の会合で、水利権を持つ東京電力側とJR東海の協議入りを了承した。だが、翌28日に「疑問点がある」などと、なおも消極姿勢を見せる川勝氏に一部の首長は不信感を隠さない。政府関係者は同氏の姿勢に「こんなの行政ではない」と憤る。
「ここで決定をしないと遅くなる」
3月27日夜、静岡県庁で開かれた流域10市町などでつくる大井川利水関係協議会。JR東海と東電側の協議入りについて、即決を避ける県の姿勢に市町側から不満の声が相次いだ。会合では協議入りを了承することで大筋合意したにもかかわらず、事務局の県が「意見を取りまとめてJRに文書で照会する」と「待った」をかけたからだ。