参院大分選挙区補欠選挙が6日、告示された。11日告示の衆院千葉5区、和歌山1区、山口2、4区とともに、23日に投開票される衆参5補選の火ぶたが切られた形だ。勝敗は岸田文雄首相の政権運営に対する中間評価となる一方、結果次第では衆院解散の判断に影響を与える可能性もある。政権への打撃を狙う野党との激しい選挙戦になりそうだ。(沢田大典)
「一人一人が1票1票を積み上げて、必ず勝ち抜こう」
自民党の小渕優子組織運動本部長は6日、参院大分補選に立候補した白坂亜紀氏(56)=公明推薦=の大分市での出陣式でこう訴えた。同補選は、白坂氏と立憲民主党の吉田忠智元参院議員(67)=共産、社民支持=による与野党一騎打ちの構図で、与野党とも最激戦区と位置付けている。
かつて社民党で党首を務めた吉田氏に対し、公募で選ばれた白坂氏は知名度で劣る。ただ、自民は告示前に茂木敏充幹事長らが現地入りするなど、テコ入れを図っている。党幹部は「大分は並んだ。相手はもう伸びしろがない」と手応えを語る。
一方、立民の泉健太代表は6日に大分市内で街頭演説し、「優先すべきは生活を守ることで、防衛増税や子育て名目の新しい保険を作り、現役世代の負担を高めるやり方ではない」と政権批判を展開した。
大分を含む今回の衆参5補選の結果は、今後の首相の政権運営の行方も左右するだけに、自民は全勝を目指して力を入れている。
安倍晋三元首相の死去に伴う山口4区と岸信夫前防衛相の辞職に伴う同2区の補選は、安倍派(清和政策研究会)を中心に精力的に活動を展開。千葉5区は自民を離党した前職が「政治とカネ」で辞職したことに伴うものだが、立民と日本維新の会、国民民主党、共産党がそれぞれ候補を擁立する方向で、野党票の分散で与党に好材料もできつつある。
一方、泉氏は6日、記者団に候補を擁立している大分、千葉5、山口4区を挙げ「3勝したい」と語った。維新は和歌山1区を重視。9日投開票の大阪府知事・大阪市長選と奈良県知事選で勝利し、勢いを和歌山補選につなげる青写真を描く。
最近は外交成果もあり、岸田内閣の支持率は上昇傾向にある。与党内では「補選が全勝なら、首相は5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)後、今国会中にも衆院解散を打ちたくなるだろう」(幹部)とみる向きもある。