林芳正外相は2日の日中外相会談後、記者団の取材に応じた。詳細は次の通り。
【邦人拘束】
北京で発生した新たな邦人拘束事案について抗議し、当該邦人の早期解放を含めてわが国の厳正な立場を強く申し入れた。これ以上のやりとりは、先方の発言を含めて外交上のやりとりであり、今後の見通しについても事柄の性質上答えるのは差し控えたい。
【東・南シナ海情勢】
尖閣諸島(沖縄県石垣市)情勢を含む東シナ海や、ロシアとの連携を含む中国のわが国周辺での軍事活動の活発化について深刻な懸念を改めて表明。台湾海峡の平和と安定の重要性について述べ、南シナ海の状況に対しても深刻な懸念を改めて表明した。
【国民交流、経済協力】
中国において当面予見可能かつ公平なビジネス環境が確保されることや、安全面とともに正当な経済活動が保障されることを強く求める。技術の開示・移転を強制しようとする動きが強まっていることへの強い懸念を表明した。日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃を強く求めた。
【地域情勢】
ウクライナ情勢について、中国が国際(社会)の平和と安全の維持に責任ある役割を果たすように求めた。日中韓プロセスの重要性についても意見交換を行い、秦剛(しんごう)国務委員兼外相との間で首脳、外相レベルを含む日中韓プロセスを再稼働させることで一致した。
【東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出】
中国側の科学的根拠に基づかない対外発信に抗議し、科学的見地に基づいた議論を強く求めた。
【半導体輸出管理】
(3月末に日本政府が発表した)半導体製造装置の輸出管理措置は特定の国を対象としたものではない。日本は国際的な平和および安全の維持の観点から国際ルールと整合的な形で、厳格な輸出管理を行っており、今後もこの方針のもとで適切な対応を行っていく。(北京 広池慶一)