陸上自衛隊石垣駐屯地(沖縄県石垣市)の開設により、南西諸島の「防衛の空白」解消に向けた陸自部隊配備は大きな節目を迎えた。ただ、防衛省関係者らは一様に「ここがスタート地点」との認識を示す。軍事的拡大を続ける中国に対する抑止力を十分に機能させるには、反撃能力(敵基地攻撃能力)を備えた長射程ミサイルの配備や在日米軍との共同訓練を重ねる必要があり、これらの取り組みには地元の理解が欠かせないからだ。
「情勢から一時も目を離すことはできない」。石垣駐屯地司令の井上雄一朗1等陸佐は2日の開設記念式典で、中国軍の活動などを念頭にこう指摘した。
南西諸島は九州南方の大隅諸島から日本最西の先島諸島まで、本州の長さとほぼ同じ約1200キロにわたる。石垣開設で宮古島と与那国島の間が埋まり、沖縄本島から西端の与那国島へ至るラインがつながった。