米、日中外相会談の日本と連携 中国「覇権」阻止も対話は維持

バイデン大統領=3月27日、米ワシントン(AP)
バイデン大統領=3月27日、米ワシントン(AP)

【ワシントン=坂本一之】バイデン米政権はインド太平洋地域で覇権を目指す中国の習近平政権を牽制(けんせい)するため、日本と外交・防衛や経済安全保障分野で連携を強化していく考えだ。中国の台湾侵攻を抑止する取り組みを重視する一方、緊張激化を回避するため安定した米中関係の構築も目指す。2日の日中外相会談を含め、日本とともに中国と対話を維持する方針だ。

今年、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の議長を務める米国は、先進7カ国(G7)議長である岸田政権と中国の経済的威圧に対抗する同盟国や友好国との連携を牽引(けんいん)していく。

中国が経済的威圧で民主主義陣営の分断を図ったり、小国を権威主義陣営に引きずり込んだりすることを阻止する狙いがある。このため中国に依存しない重要物資のサプライチェーン(供給網)強化や、半導体など先端技術が中国企業に流れて安全保障の脅威とならないよう日本に共同歩調を求めている。

中国に台湾侵攻を思いとどまらせるため、オーストラリアやフィリピンなどとの多国間協力を日本と進め、安全保障や外交での関係を深めていく方針だ。

ただ、習政権と大国間競争を繰り広げるバイデン政権には、軍事的緊張を緩和する仕組みも必要だ。危機管理のための軍事当局間のホットラインが「機能していない」との指摘もある。

バイデン政権は米中関係の崩壊を防ぐ「ガードレール」の構築に腐心していて、中国の偵察気球問題で関係が冷え込んでも閣僚の中国派遣を続ける構えだ。

こうしたことから、気候変動対策での協力や経済安全保障で問題にならない貿易の維持などで中国にメッセージを送っている。

中国との対話を日米で維持していくことは、誤解による関係悪化を抑え「地域の安定に寄与する」(米政府関係者)との考えだ。

日中外相が初の対面会談 李強首相とも

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