電気代高騰で注目「省エネ家電」 自治体の購入支援も

高い省エネ性能をアピールするドラム式洗濯乾燥機(シャープ提供)
高い省エネ性能をアピールするドラム式洗濯乾燥機(シャープ提供)

深刻な電気代高騰によって、省エネ性能の高い家電製品への注目が高まっている。家電メーカーは長年培ってきた技術に加えて、モノのインターネット(IoT)を活用するなどして電力消費を抑える機能を付加した製品をアピールする。自治体も省エネ家電の購入支援制度を実施しており、買い替えの動きも活発化している。

「製品を選ぶときに電気代を気にする人が増えているので、省エネ性能を重視した製品開発をしていきたい」

省エネ家電に力を入れるシャープの担当者はこう話す。昨年11月には業界最高水準をうたう省エネ性能を強調したドラム式洗濯乾燥機を発売。2種類の乾燥機能を人工知能(AI)で制御して使い分け、最も電力を消費する乾燥の工程を省エネ化し、消費電力を抑えながら、衣類を乾燥させるという。

パナソニックホールディングスも令和4年以降に発売した冷蔵庫で、スマートフォンの位置情報と連携して省エネ運転する機能を提供している。スマホが自宅から離れると外出を検知して自動で節電モードに移行。位置情報からスーパーなどでの買い物も検知し、帰宅前に庫内をあらかじめ冷却して、急な温度変化による電力消費を抑える。

富士通ゼネラルは2月から優れた省エネ性能をアピールしたルームエアコン「ノクリア」の新製品を発売した。新製品8機種すべてが、昨年6月に施行された政府の省エネ効率目標の新基準をクリア、目標値を達成した製品に付与される「統一省エネラベル」を表示する。電気代の高騰で「省エネ性能の高いエアコンの売り上げが増えている」と同社の担当者。「新基準対応製品を拡充することで、お客さまに選んでもらえれば」と話す。

自治体では、省エネ機能の高い家電への買い替えを支援する動きも広がる。統一省エネラベルを付与された、一定以上の基準を達成したエアコンや冷蔵庫などを購入すると補助金が交付される仕組みで、2月27日から支援事業を始めた福島県では、家電量販店での購入には4万円分、中小規模店では8万円分を上限にポイント還元する。県環境共生課の担当者は「電気代高騰で家計が苦しい県民の支援と同時に環境貢献にもつなげたい」と話す。

第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「電気代高騰によって、多少値段が高くても省エネ性能の高い家電を選ぶ人が増える可能性はある」と指摘。2月時点の日本経済研究センターのデータをもとにした試算では、今年の家計負担は電気代高騰や物価高の影響を受けて、1人あたり前年比で2万2千円増える見込みという。永浜氏は「家電は一昔前の価格重視から性能重視へとシフトするのでは」としている。(桑島浩任)

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