文化庁が中央省庁で初めて、東京・霞が関の本庁を地方に移転し、京都での業務を開始した。バブルによる東京の地価高騰を背景に平成2年に国会決議が行われて以降、進展がなかった首都機能移転だが、新型コロナウイルス対策を目的としたリモートワークの定着などで潮目が変化。自民党や経済界などで再び形を変えて推進の動きが出ている。コロナ禍も踏まえた首都機能移転・分散の是非を3氏に聞いた。このうち、自民党社会機能移転分散型国づくり推進本部長の古屋圭司氏の話は次の通り。
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昭和20年8月の敗戦後、どうすればいち早く復興できるかをときの政権が検討し、出した結論が東京への一極集中だった。これは成功した。戦争で負けた国が23年で世界第2の経済大国になった例は古今東西にないはずだ。しかし、この成功物語があるがゆえに、政治も行政も新しいことにチャレンジしてこなかった。その結果、人、モノ、資本など、あらゆる社会機能があまりにも集中し過ぎてしまった。
国力全体を高めるためにも東京は強くあり続けないといけないが、人口があまりにも増え過ぎている。ビジネスパーソンは満員電車の通勤地獄で心身ともに疲れ果て、それが労働生産性の低下や効率性の毀損(きそん)にもつながっている。今後は東京の社会機能を地方に分散させる必要がある。