林芳正外相は日本の外相として約3年ぶりに中国を訪問し、秦剛(しんごう)国務委員兼外相ら中国指導部と相次いで会談した。中国との間に懸案が山積する中、対話を通じて決定的な対立を避け、対中関係を「管理」する狙いがある。だが、邦人拘束事件で表立った進展はなく、台湾問題や尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む東シナ海情勢などでも対立が残った。両政府が目指す「建設的かつ安定的な関係」の構築には程遠い状況だ。
「諸懸案を含めて長時間にわたって率直な議論を行ったことは有意義だった」
林氏は2日、日中外相会談後、記者団にこう強調した。とはいえ、邦人拘束事件の見通しについては、「事柄の性質上、お答えは差し控えたい」と明言を避け、領事面会の早期実施の要求にとどまった。