【ニューヨーク=平田雄介】ウクライナへの侵略を続けるロシアは1日、国連安全保障理事会の議長国となった。議長国は15理事国が毎月交代で務める。議長の主要な役割は議事進行といった事務的なものだが、国際平和と安全の維持に主な責任を負う安保理の〝顔〟と言える。ウクライナのゼレンスキー大統領は「不条理だ」と不満を示し、国際機関の改革を求めた。
ロシアの議長国就任は昨年2月以来。ロシアが「特別軍事作戦」と称してウクライナへの侵略を始めた瞬間も、ネベンジャ露国連大使が、ウクライナ危機を討議する安保理緊急会合の議事進行を務めた。
ロシアはウクライナから子供を連れ去り、国際刑事裁判所(ICC)は今年3月、その責任を問うためプーチン露大統領に戦争犯罪容疑で逮捕状を出した。侵略開始から3月26日まで民間人の死傷者は少なくとも2万2424人(国連人権高等弁務官事務所調べ)。
ゼレンスキー氏は1日のビデオ演説で、ロシアの議長国就任は「安保理の完全な破綻」を示すと批判し、安保理を含む国連など国際機関の「全般的な改革の必要は明らかだ」と訴えた。
国連筋によると、常任理事国ロシアの議長国就任を防ぐ法的な手段はない。米国のジャンピエール大統領報道官は3月30日、ロシアに対し「議長国の職責を忠実に果たす」よう促した。