文化庁が中央省庁で初めて、東京・霞が関の本庁を地方に移転し、京都での業務を開始した。バブルによる東京の地価高騰を背景に平成2年に国会決議が行われて以降、進展がなかった首都機能移転だが、新型コロナウイルス対策を目的としたリモートワークの定着などで潮目が変化。自民党や経済界などで再び形を変えて推進の動きが出ている。コロナ禍も踏まえた首都機能移転・分散の是非を3氏に聞いた。このうち、元東京都副知事の青山佾氏の話は次の通り。
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首都機能移転の議論で忘れてならないのは、地政学的な現実だ。日本は「島国」といわれるが、平地が極端に少ない「山国」でもある。地球儀規模でみると、平野らしい平野は関東平野しかない。
この関東平野に行政区域をもつのが東京、埼玉、千葉、神奈川に茨城、栃木、群馬、山梨を合わせた1都7県だ。細長く小さな東京都に約1400万人が住んでいることで「一極集中」という見方をされることもあるが、実はこの1都7県で首都機能全体を担っている。