その昔、晋の孫楚(そんそ)は「流れに漱(くちすす)ぎ、石に枕す」というところを、誤って「流れに枕し、石に漱ぐ」と言ってしまった。友人に指摘されると、孫は負け惜しみで「流れに枕したのは耳を洗うためで、石に漱ぐと言ったのは歯を磨くためだ」とこじつけた。夏目漱石の号の由来である。
▼泉下の漱石はどう思うのか。「毎週開催はサルのやることだ」「蛮族の行為」。衆院憲法審査会について3月29日、こう言い放った立憲民主党の小西洋之参院議員のことである。30日の記者会見では述べた。「私の発言報道により不快な思いをされた方にはおわびしたい」。発言ではなく、あくまで「発言報道」なのだった。
▼「オフレコの場で即時の撤回、修正をした」。小西氏はオフレコだったと語ったが、31日の毎日新聞朝刊は実名報道を前提とするオンレコ取材でICレコーダーで録音していたと説明し、小西氏は発言の「撤回や修正はしなかった」と報じている。