花田紀凱の週刊誌ウォッチング

(918) クリミア奪還は可能か、充実のNW誌対談

2022年10月8日、ロシア本土と2014年に併合したウクライナ南部クリミア半島を結ぶ動脈クリミア橋でトラックが爆発し、自動車道の一部が崩落。ロシアのプーチン大統領はウクライナによるテロだと非難したが、ゼレンスキー氏は関与を否定した(タス=共同)
2022年10月8日、ロシア本土と2014年に併合したウクライナ南部クリミア半島を結ぶ動脈クリミア橋でトラックが爆発し、自動車道の一部が崩落。ロシアのプーチン大統領はウクライナによるテロだと非難したが、ゼレンスキー氏は関与を否定した(タス=共同)

それにしても今週の週刊誌は低調。各誌、読みたい記事が見当たらない。

唯一、読むべき週刊誌は『ニューズウィーク日本版』(4・4)のみ。

メインは小泉悠氏(軍事評論家、東京大学先端科学技術研究センター専任講師)と河東哲夫氏(同誌コラムニスト、元外交官)の対談「ウクライナ戦争の『天王山』とこれから」(表紙のタイトルは「ウクライナ戦争超分析」)。

この戦争はいつ終わるのか。そもそも終わるのか。

<小泉 どちらも簡単に、純軍事的に音を上げる状況ではない。この戦闘をやめるとすれば政治決断しかないが(中略)(ウクライナには)どこかでやめてもロシアがまた同じことを繰り返すという恐れがある。あるいは、ここでやめたら(14年以降、ロシアに奪われた)2割の国土を永久に取り戻せないという恐れがある>

大きな焦点のひとつ、ウクライナはクリミア半島の奪還を目指すのか。

<河東 クリミアが今、実際には一番大きな問題だと思います。ロシア軍がクリミアを守るための補給路が非常に「細く」なっている>

<小泉 私もクリミア奪還の可能性はあると思っています。政治的に14年の(クリミアとドンバス地方を奪われた第1次ウクライナ戦争前の)所まで国境を戻すという断固たる意志の表現にもなるし、プーチンのロシア国内向けの正当性に大打撃を与える効果も期待できる>

パイプライン爆破の謎、欧米各国からウクライナに供与される最新型戦車の実効性なども興味深い。

フォトエッセー「激戦地バフムート 忘れられた戦争のリアル」もNW誌ならでは。心打つ写真だ。

『週刊文春』『週刊新潮』(ともに4月6日号)の『週刊現代』化、つまり老人雑誌化が止まらない。

「100年人生『年代別』休薬、減薬新常識」(『文春』)、「老化予防に食べてはいけない『NG』食」(『新潮』)。

大学合格者ランキングの『週刊朝日』(4・7)、『サンデー毎日』(4・9)は、『文春』の告発などなかったかのように相変わらずのジャニーズ表紙。

いいのか。

(月刊『Hanada』編集長)

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