全国銀行協会の会長に1日付で就任した加藤勝彦氏(みずほ銀行頭取)が3月31日までに産経新聞のインタビューに応じ、岸田文雄政権が掲げるスタートアップ(新興企業)支援について「非金融面でもサポートすることが大切だ」と述べた。日本銀行の総裁に就任する植田和男氏らによる新体制についても言及し「市場関係者とコミュニケーションよくやっていただきたい」と期待を述べた。
加藤氏はスタートアップ支援について、資金供給を進めると同時に、非金融面での多様な支援を行うことも必要だと強調した。「スムーズに銀行取引ができるようサポートしたり、(大企業などとの)マッチングなどを進めたりして、企業の成長を促していく」と抱負を述べた。
9日には日本銀行の総裁に経済学者の植田氏が就任し、転換点を迎える。加藤氏は日銀が行った10年間の大規模金融緩和について、円高是正などの効果を認める一方で「債券市場にゆがみが出ているのは事実」と副作用の存在を指摘した。銀行の資金収支にも悪影響が出ているとして「実体経済をよくご理解いただき、政策を進めていただきたい」と新体制へ注文を付けた。
また加藤氏はQRコードを活用した地方税収納の電子化や、個人間の少額送金サービス「ことら」の普及などを通じ、デジタル技術を用いた金融インフラの構築も進めていきたいとした。