宮内庁「広報室」民間も登用 室長に藤原氏、きょう発足

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皇室の方々のご活動を支える宮内庁に1日、積極的な広報や新たな情報発信方法を検討する「広報室」が新設された。室長には、警察庁出身の藤原麻衣子氏(44)が同日付で就任。定員は室長含め10人で、民間からも人材を登用し、「国民目線」で情報発信を強化。ホームページ(HP)の改修に向けた準備などに着手する。

広報室は、これまで報道対応などを担当してきた「報道室」と並んで総務課内に設置。室長を務める藤原氏は京大卒、平成14年警察庁入庁。警視庁組対総務課長などを歴任し、昨年4月に警察庁に新設された「経済安全保障室」では、室長として事業者など外部への情報発信にも従事した経験がある。

就任に際し、藤原氏は「大変身の引き締まる思い。皇室の方々のご活動について、国民の理解が深まるよう尽力していきたい」と語った。

動画活用も

新設された広報室の当面の課題となるのが、10年以上大幅な改修を行ってこなかったHPの刷新だ。インターネット環境の急速な変化に対応するため、宮内庁は令和5年度予算に調査分析のコンサルタント費用として約400万円を計上。本格的な改修に向けた準備を進める。

宮内庁ではすでに、現行のHPについても情報や素材の拡充を進めており、今年1、2月の一般参賀では初めて動画を配信。新型コロナウイルス禍で参賀者を制限したことに伴う臨時的な対応だったが、同庁幹部は「情報発信に動画を活用していくことはあり得る」と明かす。

皇室の方々のご活動の意義や、人柄が伝わるようなエピソードをタイムリーに紹介する案も浮上。ご活動を最も近くで支える側近部局でも、担当者を決めて広報の研究を始めており、広報室には各部と連携し、宮内庁全体としての新たな情報発信の在り方を確立する役割が期待されている。

SNSには慎重

一方、海外王室などで活用が盛んな交流サイト(SNS)については、庁内でも導入に慎重な声が多い。具体的な運用方法や、誹謗(ひぼう)中傷の書き込みがあった場合の対応など、メリット・デメリットを十分に調査した上で判断する方針だ。

広報室の新設は、秋篠宮ご夫妻の長女、小室眞子さん(31)の結婚に際し、バッシング報道が相次いだことが背景にある。西村泰彦長官は3年10月、「情報発信の在り方を研究していきたい」と表明し、それを1年半で組織改編として具体化させた格好だが、「研究」は緒に就いたばかりだ。

天皇陛下は今年2月の誕生日の記者会見で、情報発信は国民との信頼関係を築く上で「大事なこと」としつつ、その前提として、「皇室の在り方や活動の基本に立ち返って考える必要がある」と指摘された。

ある幹部は「何を発信するかが重要。本質であるご活動をしっかりとお支えした上で、そのお姿を効果的に伝えるための方法を一つ一つ、個別に議論していくことになる」としている。(橋本昌宗、緒方優子)


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