露、外交文書を7年ぶり更新 「米欧敵視」前面

ロシアのプーチン大統領=24日(ロシア大統領府提供・タス=共同)
ロシアのプーチン大統領=24日(ロシア大統領府提供・タス=共同)

ロシアのプーチン大統領は3月31日、外交の基本方針を定めた文書「露外交政策の概念」を更新する大統領令に署名した。この文書の更新は2016年以来、7年ぶり。ウクライナ侵略で米欧との関係が決定的に悪化したのを受け、米欧との対決姿勢を鮮明にした。「米欧諸国による反露政策の打破」や「非欧米諸国との連携強化」などを前面に打ち出している。

文書は、アジアやアフリカ諸国などの台頭により、世界が米欧中心でない「多極的世界」に移行しつつあると指摘。しかし、既存の国際秩序維持を望む米欧が現実を受け入れようとせず、このことが「世界に破壊的な影響」を与えているという。

文書によれば、米欧はロシアについて、自らの覇権に抵抗する存在と考えている。そこで米欧はロシアの弱体化政策を展開し、その一環としてウクライナを支配下に置こうとした。「ロシアを追い込み、対ウクライナ戦に踏み切らせたのは米欧側だ」という。

その上で文書は、ロシアは対露制裁と距離を置く中国やインド、中東、アフリカ、南米、東南アジア諸国などとの関係を強化していくと宣言。米欧については、反露政策を取りやめれば関係修復に動く用意があるとした。

文書は、他国がロシアの主権や領土保全を脅かした場合、「対称的、あるいは非対称的な措置をとる」と警告。ナチス・ドイツや日本の「軍国主義」を再評価することなど、第二次世界大戦の結果を改変することは容認しないとも述べている。

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