先日、台湾の人権活動家、李明哲氏と一緒に食事をした。
李氏は長年、中国の政治犯の家族の生活を支援。2017年3月、義援金を届けるために中国に渡ったところ広東省で拘束された。その後、国家政権転覆罪に問われて約5年投獄され、昨年4月に台湾に戻った。
「今でもよく刑務所にいる夢を見る。口惜しさと不安と絶望感が交互にやってくる」と李氏。中国の司法当局に問われた罪について「全く心当たりはない」と自らの無実を強調した。
「義援金を銀行振り込みにすると、中国の警察に横領される。自分で届けるしか方法がなかった。その行為は中国の法律に違反していない」と主張し、「中国の政権を転覆させようと思ったことはなかった」と語る。
李氏は以前、民主進歩党の職員だった経歴がある。逮捕されたときは、中国と距離を置く民進党の蔡英文政権が発足して1年足らずの時期で「自分の拘束は蔡政権に対する嫌がらせの側面もあるのでは」と分析した。
日本の製薬会社の男性職員が最近、中国当局に拘束されたことについて「中国で外国人が拘束されるケースは近年増えている」と述べた上で「経済活動を展開するとき、中国は法治国家ではないという目に見えないリスクを企業が考えなければならない」と強調した。(矢板明夫)