3月23日に開かれた仙台「正論」懇話会の第69回講演会。楊海英・静岡大教授が「ジェノサイド国家 中国と諸民族-モンゴル・ウイグルの真実」と題して講演し、会員たちは悲惨な現実に聞き入った。
楊教授は内モンゴル自治区出身の文化人類学者で、平成12年に帰化。中国の他民族に対する意識について、「自分たち以外は無知蒙昧(もうまい)だと思っている。それは習近平国家主席を見ても分かる」と分析する。
1941年当時、旧満州国興安総省ではモンゴル人の人口約50万人に対して学校が335校あったが、中国の支配地では1校しかなかった。日本は蒙古軍幼年学校や陸軍興安軍官学校などの設立も許可し、信頼関係があったという。
先の大戦後、モンゴルは日本的な近代教育で飛躍的に発展を遂げ、ウイグルも西方からの先進的な思想が流入して知識人層を形成した。
「アジア諸国が西洋列強からの独立を目指したのに対し、モンゴルとチベット、ウイグルは中国からの解放を目指した」と楊教授。
中国は内モンゴル自治区に対し、殺戮(さつりく)に加え、母語の使用を禁止している。当時を知る楊教授は「ある一時期、どこの家庭に行っても父親がいなかった。それほど(殺戮は)徹底していた」と話す。新疆(しんきょう)ウイグル自治区のウイグル族にも徹底的な監視などのほか、組織的な性犯罪を行っていると指摘。さらに、「ウイグル人女性に対しては、出産コントロールや漢民族との強制結婚も行われている」と述べた。
モンゴル族やウイグル族に対するジェノサイド(集団虐殺)は看過できない国際問題だとして、「日本がリーダーシップを取って発言することが重要だ」と訴えた。
ウイグル問題「日本が発言を」 静岡大・楊海英教授が仙台「正論」懇話会で講演