大歓声とともに、ヤクルト村上の新シーズンが幕を開けた。本拠地・神宮に広島を迎えた今季初打席で、勝利に導く先制2ラン。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界一奪還に貢献した主砲は「WBCの流れで、勢いで、集中して試合に入ることができた」と汗をぬぐった。
初打席は0-0の一回2死二塁で迎えた。体勢を崩されながら、大瀬良の低めの変化球をすくい上げた。打球がバックスクリーン左へ飛び込むと、人さし指を高々と突き上げた。プロ6年目で初の開幕戦アーチとなった。
WBCでは酸いも甘いも味わった。準決勝でサヨナラ打、決勝で同点ソロを放ったが、1次リーグでは極度の不振に陥った。「次は全試合で4番を打てるようにしたい」。帰国後の優勝会見では、選手でただ一人課題が口を突いた。
大会後、日本代表の栗山監督からは「宿題を持ったまま終わるよ」と声を掛けられた。「もう一度頑張りなさい、という意味なのかな」と捉え、23日に米国から帰国後も試行錯誤を重ねてきた。史上最年少の三冠王、日本選手最多56本塁打と記録ずくめの2022年シーズンを過ごしても、向上心は尽きない。「まだまだもっと打てる」。さらなる高みを目指す1年が始まった。(川峯千尋)