食品の値上げに歯止めがかからない。帝国データバンクは31日、4月に値上げする品目が加工食品を中心に5106品目に上るとの調査結果を公表した。原材料高や物流費などのコスト増が長期化したほか、鳥インフルエンザ感染拡大による鶏卵価格の上昇も直撃。年内に値上げしたか値上げを予定する品目は現時点で累計1万8544品目に上り、4月中の計画ベースで2万件を突破する見通し。
調査は主要飲食料品メーカー195社を対象に行った。4月の値上げ品目は、単月で「値上げラッシュ」と呼ばれた昨年10月(7864品目)や今年2月(5528品目)に続く規模になる。5月には778品目、6月には2390品目の値上げが決まっている。
年内に値上げしたか値上げを予定する品目のうち、原材料高を理由にしたものは99%以上を占める。このほか「鶏卵価格の高騰や、人件費の上昇による値上げも目立ち始めている」(帝国データバンク)という。
マヨネーズは、鳥インフルに伴う供給減で鶏卵価格が高騰して、一斉に値上がりした。キユーピーと味の素の値上げは令和3年7月以降で4回目。「キユーピー マヨネーズ」(450グラム入り)の参考小売価格は45円高い520円となる。
明治、森永乳業、雪印メグミルクはチーズやヨーグルトなどを3・1~28・9%値上げ。伊藤ハムや日本ハム、プリマハム、丸大食品はハムやソーセージの価格を2~30%引き上げる。
みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介主席エコノミストによると、令和5年度の1世帯当たりの食費負担は前年度比で平均約3万2千円増える。「原材料高は落ち着いてきたが、値上げを我慢していた企業の価格転嫁は少なくとも今夏までは続く」と分析。その後も食品価格は高止まりして、年内は家計の節約志向が高くなると指摘する。