IR候補地・夢洲に「ディズニーを!」自民ポスターが物議、大阪

「夢洲にディズニーリゾートを!」と記されたポスター=大阪市北区
「夢洲にディズニーリゾートを!」と記されたポスター=大阪市北区

大阪府市が、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の候補地としている大阪市此花区の人工島・夢洲(ゆめしま)について、自民党名で「ディズニーリゾート」の誘致を呼びかけるポスターが大阪市内に掲示され、波紋を呼んでいる。

IRを巡っては政府・自民党が国政レベルで推進する一方、自民大阪府連内では反対意見も根強く、府市両議会では自民がIR誘致の是非を問う住民投票条例案を提案したことも。ただ「ディズニー」構想はこれまで、自民の政策として議論の俎上(そじょう)に載っておらず、自民関係者にも戸惑いが広がっている。

「夢洲にディズニーリゾートを!」。今月30日、大阪市都島区の自民関連施設に掲示されたポスターにはこんな大きなメッセージが躍り、下部には自民の党名が入っていた。

自民府連関係者によると、ポスターは3月下旬までに作製され、大阪市北部を中心に掲示。意図について「ディズニー誘致は府連の総意ではないが、アイデアの一つ」と説明した。アイデアの提案者やポスター掲示が決まった経緯は明らかにしなかった。

大阪では地域政党「大阪維新の会」がIR誘致を主導。議会の承認手続きでは自民府議団が賛成、自民市議団が反対するねじれが生じた。

31日告示された府議選と市議選では、多くの自民候補者がIR誘致の是非を住民投票で決するよう呼びかけているが、唐突な「ディズニー」構想の浮上に、市議選候補者を中心に「主張と矛盾しており支持者が離れる」と反発が出ている。

こうした自民の動向に維新顧問の松井一郎・大阪市長は同市此花区に「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」を誘致した経緯に触れ、「他の大規模テーマパークを誘致しないとする覚書を結んでおり、ディズニーの誘致はできない」と指摘している。

現在、府連内では「先走り過ぎた」との声が上がり、ポスター撤去を進めているという。

自民の「ディズニー」構想について、東京ディズニーリゾートを経営するオリエンタルランドは取材に「コメントする立場にない」と述べるにとどめた。

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