露の核配備を正当化 ベラルーシ大統領、停戦も主張

31日、ベラルーシ首都ミンスクで議会に年次報告演説をするルカシェンコ大統領(タス=共同)
31日、ベラルーシ首都ミンスクで議会に年次報告演説をするルカシェンコ大統領(タス=共同)

ロシアの同盟国ベラルーシのルカシェンコ大統領は31日、内政や外交の方針を示す年次教書演説を首都ミンスクで行った。ロシアの戦術核兵器をベラルーシに配備するとした決定について、自国の主権を米欧諸国の「圧力」から守るためだと主張して正当化した。また、ロシアの侵略を受けるウクライナに対し、「核大国ロシアに勝つことはできない」と述べ、反攻を断念して即時に停戦交渉を開始すべきだとした。

演説はロシアの主張に沿った内容が多く、近年加速しているベラルーシのロシア接近を鮮明にした。

ベラルーシは1991年のソ連崩壊後、配備されていた核兵器をロシアに移管した。ルカシェンコ氏はこの点について、「当時は(米欧から)政治・軍事圧力や経済制裁はかけないと保証された」と説明。しかし、その約束は「全て破られた」と憤りを示し、自身がプーチン露大統領に核配備を働きかけたと述べた。戦術核配備は「(他国を)脅すものではなく国民の安全を守るためのものだ」と主張した。

ウクライナ侵略については、米欧諸国によるウクライナへの軍事支援を批判。「ロシアが自国崩壊の危機を認識した場合、最も恐ろしい兵器が使われるだろう。それは起きてはならない」と語った。双方が兵員や装備の移動をやめて停戦を宣言し、即座に交渉を開始すべきだと述べた。

昨年2月のウクライナ全面侵攻でベラルーシは露軍の出撃拠点の一つとなった。現在もベラルーシは、ウクライナをミサイル攻撃する露軍機に発着拠点を提供している。

ルカシェンコ氏の停戦呼びかけについて、ペスコフ露大統領報道官は31日、「軍事作戦は目標達成のための唯一の手段であり、継続される」と停戦を否定した。ペスコフ氏は「ウクライナは米欧によって(停戦)交渉を禁じられている」との自説も示した。

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