平成29年に近畿大2年の登森(ともり)勇斗(はやと)さん=当時(20)=がテニスサークルの飲み会で一気飲みした後に死亡したのは、参加者らが適切な救護措置を怠ったことが原因だとして、両親が当時の学生18人に計約1億500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、大阪地裁であり、達野ゆき裁判長は16人に救護義務違反を認定して賠償を命じた。
賠償を命じられたのは、飲み会の参加者10人(計約4220万円)と、飲み会後に呼ばれて介抱した6人(計約2530万円)。残る2人は登森さんを飲食店から運び出す際に同行しておらず、「関与の度合いが低い」と判断した。
被告側は「危険な状態と認識していなかった」と主張したが、達野裁判長は、一気飲み後に登森さんが周囲の呼びかけに応じなくなったことなどから「放置すれば急性アルコール中毒で死亡する危険性を認識していた」と認定。すぐに救急車を呼ぶといった措置を怠ったと指摘した。
一方、両親の「飲酒を強要された」との訴えに対しては「飲酒を重ねて求めたり、飲酒を断ることにペナルティーを設けたりした事情はない」と強要を否定、登森さんの過失を考慮して賠償額を減額した。
判決によると、登森さんは29年12月、大阪府東大阪市内の飲食店で、ビールやショットグラス約20杯分のウオッカを一気飲み。意識がない状態で別の学生宅に運ばれ、翌朝に救急搬送されたが死亡した。近大も被告だったが、近大が再発防止に努めるとの内容で和解が成立している。
判決を受け、両親は「被告らの責任が軽減され、受け止められない。二度とこのような事件が起きないことを強く願う」とコメントした。